2013年6月21日金曜日

一生保険料の変わらない保険に入ると経済回復に弱くなる

今、老人向けの「一生保険料の変わらない保険」が多いですよね。 これに入ると日本が経済回復したときに価値が下がるわけですが、みんな理解して入ってるんでしょうか?

例えば日本経済がデフレ脱却をはたして、順調に成長して、30年後に物価が3割上がるとします。 保険料月3000円、入院補償日額5000円の健康保険に入っていた場合、入院すると当然1日5000円支払われます。 しかし、物価が上がっているので、例えば現在1日1万円で済む入院費用が1万3千円必要になっているのです。 経済成長したぶん相対的に保険の価値が下がります。

老人にとっては、「一生保険料の変わらない保険」に入るという事は「現状維持に賭ける」という事に近いのです。 しかし、今の日本で現状維持が続くのは良いことではありません。 経済がガタガタのまま30年もつというのは可能性が低い。 日本経済が現状維持するという前提なら、「一生保険料の変わらない保険」に入るのは分の悪い賭けです。 日本経済が成長するという前提なら、価値の下がる保険に入るのと同じです。

しかし、保険会社にとっては悪いことではありません。 一定の顧客をキープしている限り、保険会社が赤字になるのは保険料の支払いが予想を上回ったときです。 それ以外の場合については、あらかじめ赤字にならないようにパラメータが調節されています。 日本経済が衰退していくときはもちろんダメなんですが、今の日本は悪い時期なのでこれ以上の衰退は保険会社だけの問題ではなくなります。 これについては考えないとしましょう。 現状維持か経済回復かを考えた場合、どちらかが保険会社にマイナスになるわけではありません。 「予想以上の加入者が多数病気になった」というときだけ保険会社にマイナスになるのです。

では日本経済が成長した場合について、「加入した保険の価値が下がってしまった老人」はどういう行動を取るでしょう? 健康な人なら、保険を解約して別の保険に入りますね。 それは保険会社にとってはチャンスです。

保険会社から見てリスクの高い、病気がちな老人はどうでしょう? 彼らは別の保険に入ることはできません。 価値の低い保険に頼り続けるしかないのです。

こういうのを考えると、「一生保険料の変わらない保険」っていうのがデフレのときの一時的な保険だというのがわかりますね。 ご家族が加入されているなら、そのことは頭の隅に入れておきましょう。